『正しく理解し上手に使う』シリーズ企画のお知らせ

昨年9月27日に実施した第一回ベーシックセミナーで行いましたアンケートにより明らかになったことが,2点ありました.①慣性センサを研究対象としていない工学系の研究室では,教授が学生に慣性センサを使用して実験することを要求しますが,慣性センサの講義は行っていないこと,②慣性センサの営業マン,とりわけMEMS慣性センサの営業マンの評判がかんばしくないこと,の2点です.大学の実情を見ますと,MEMSの研究者のなかで慣性センサを研究対象に選んでいる先生は数人ですし,機械加工による慣性センサを研究している方は皆無です.つまり,学部学生,大学院生は独学で慣性センサをマスターして実験せよと言われていることになります.世間には俗論が蔓延しておりますし,お役所は例によってはっきりしませんし,企業は頼りになりません.権威の部厚い衣を纏った俗論に対しては,企業の営業マンが本当のことを言う筈はありません.

このような基本的な状況を鑑みて企画したのが,「正しく理解し上手に使う」本シリーズ企画です.きちんと理解・納得していただくことが目的ですので,(講演+討論)型講演会の分類とし,TV会議形式で実施致します.ジャイロスコープと加速度センサについては,それぞれ三回,一回三時間のセミナーとし,校正に関しては,4時間をかけたセミナーを一回実施致します.コロナと酷暑と不安定な気候が続いておりますが,実力を蓄えようではありませんか.TV会議形式で行いますので,地方からの参加は容易です.通し券で参加する方には,割引を設けてもあります.奮ってご参加ください.

主 催  一般社団法人慣性センサ応用技術研究協会
協賛学会 日本機械学会,応用物理学会,土木学会,電気学会,日本航空宇宙学会,日本建築学会,日本ロボット学会
協賛予定 自動車技術会,農業食料工学会,日本船舶海洋工学会

ジャイロスコープ

開催日開始時刻講 師テーマ対 象
9月24日(木曜日)
TV会議形式
午後1時,三時間中村 茂ジャイロスコープ入門学部三,四年生,営業技術職,初級技術者
キーワード動作原理、ジャイロの物理学、種類、使用の実際,ジャイロの構造等
2021年1月28日
TV会議形式
午後1時中村 茂ジャイロの性能評価学部三,四年生,営業技術職,初級技術者
キーワード性能指標、試験方法、データ評価
2021年3月25日
TV会議形式
午後1時中村 茂慣性センサシステムの実際学部三,四年生,営業技術職,初級技術者
キーワードIMU、AHRS、慣性航法装置、ジャイロコンパス

加速度センサ

開催日開始時刻講 師テーマ対 象
10月7日
(水曜日)
TV会議形式
午後1時
三時間
土屋智由加速度センサの原理&理論学部三,四年生,営業技術職,初級技術者
キーワード慣性力、バネ-マス-ダンパー系、1軸/3軸、感度、温度特性
周波数特性、ノイズ、バイアス安定性、耐衝撃、信頼性
12月11日
(金曜日)
TV会議形式
午後1時
三時間
土屋智由加速度センサの検出回路学部三,四年生,営業技術職,初級技術者
キーワードデジタル/アナログ、検出回路(ΔΣ変調、ダイオードブリッジ、
スイッチトキャパシタ)AD変換、実習
2021年1月8日(金曜日)
TV会議形式
午後1時
三時間
土屋智由加速度センサの測定評価学部三,四年生,営業技術職,初級技術者
キーワード1軸/多軸測定、回転運動の影響、横感度、
振動(1軸/3軸)台による測定,マトリックス感度

校正とは何か

開催日開始時刻講 師テーマ対 象
10月23日(金曜日)
TV会議形式
午後1時
四時間
梅田 章校正とは何か,加速度センサ,ジャイロスコープ共通学部三,四年生,
営業技術職,初級技術者
キーワード計測技術,校正,加速度センサ,ジャイロスコープ,度量衡,
メートル条約,ISO,IEC,単位,感度とは,トレーサビリティ,
計量法,慣性センサの校正,IEC60747-14-4,ISO16063,
ISO/IEC17025,不確かさ,動的感度(マトリックス感度),
静的感度,g感度,g二乗感度,線形性

サマリー

9月24日 ジャイロスコープ入門編サマリー(担当:中村 茂,協会理事)

 自動運転用安全システム、携帯電話、バーチャルリアリティー、ロボットと様々な分野で小型・高精度の慣性センサの需要が高まっています.本稿では慣性センサの内、「角速度」を検出するセンサであるジャイロスコープについて,約170年前の「フーコーの振り子」から始まる歴史,各種方式の原理・構造について詳述します.
 又、第2回目以降には,性能評価の方法を紹介し,「賢い選択・使い方」について解説するとともに,慣性センサシステムについても解説します.
 本講座の理解には高校生程度の物理学の基礎知識を必要とします.

10月7日 加速度センサ一回目 (担当 土屋智由,京都大学教授,協会理事)

 本講演では加速度センサを設計,試作,測定している立場から,加速度センサを各種システムで使用するときに注意すべきことをその原理から実践まで3回に分けてお話しさせていただきたいと存じます。
 加速度センサの原理について,基礎的な事項をお話しします。加速度センサの物理(力学)についてまた感度と周波数特性の関係を説明しながら,小型化の可能性とその限界を考えてみたいと思います。この中で加速度センサに用いられる用語,評価のための仕様,指標についても説明します。

10月23日 校正とは何か(担当:梅田 章,協会理事長,(株)ベクトルダイナミックス)

 戦国時代の武将の物語を読むと,1対1の名乗りあっての戦いから,集団戦への変化の過程を経て,商業の活発化が武力の近代化に必要になり,城下町を作ると楽市楽座を作り,度量衡を整備して,商業の活性化を図ったとか,検地等の話が,信長位から出てきます.度量衡は国家の基本でありましたが,今日度量衡は計測標準(Metrology)と呼ばれ,国際間での整合性を問われる技術になっています.国際間での取り決めが第一であり,国内の取り決めはそれに従うように設定されています.国際間で計測結果が一致しなければならい課題は,基本単位とその測定,物理定数の測定,単位の変換です.慣性センサ分野で問題になる校正にはどういうものがあるか,その根拠は何か,国際間ではどのような考え方が支配的であるか,問題点は何か(何が俗論か),どのような技術が関係してくるか,何を信じるべきか,等についてお話しします.精密な計測イコール校正ではないことを理解して下さい.
 本講座の理解には,初等物理学の基礎知識(古典力学),数学に関しては線形代数,解析学の知識を必要とします.

12月11日 加速度センサ二回目 (担当 土屋智由,京都大学教授,協会理事)

加速度センサの出力信号を読み解いてみようと思います。加速度センサの出力はデジタル・アナログがあり,内部回路も様々な方式があります。これはそれぞれに特徴があり,その違いは加速度センサの出力を制御に用いるうえで知っておかなければいけない事項です。講演では,静電容量型加速度センサの回路・出力を中心にお話しいたします。

1月8日 加速度センサ二回目 (担当 土屋智由,京都大学教授,協会理事)

 加速度センサの評価について梅田先生のマトリックス感度の考え方の実践として説明いたします。一般的な1軸加振器を用いた3軸加速度センサの測定,3軸振動台を用いた測定,さらには回転運動を考慮した3軸6自由度振動台を用いた測定の方法と測定結果からわかることを説明します。

1月28日 ジャイロスコープ二回目 サマリー(担当:中村 茂,協会理事)

ジャイロの性能評価について一般的な項目の試験方法について紹介する。性能に応じた試験方法について解説するとともに、各種方式のジャイロ特有の誤差と試験・評価についても紹介する。

3月25日 ジャイロスコープ三回目 サマリー(担当:中村 茂,協会理事)

慣性センサ(ジャイロ、加速度計)を用いた各種システムの原理を解説し、実際のシステム例を紹介する。

参加費

registrationfee

ご注意

  1. 講演会は,TV会議形式で行います.
  2. 使用するPlatformは,Microsoft社のTeamsです.
  3. ドタキャンの場合,再放送は致しませんので,ご注意ください.
  4. 請求書の送付先,領収書の送付先,請求書の宛名,領収書の宛名には,ご注意ください.
  5. 資料,領収書は事前に郵送します.
  6. 購入にあたっては,例えば,全講演通し券を購入するけれども,ジャイロスコープ講演を聴講するのは機械太郎さん,加速度センサ講演を聴講する方は,東京花子さん,校正講演を聴講する方は,慣性次郎さんというように担当者別に申し込むことは可能です.Teamsでは参加各人に開始前に招待状を送りますので,参加する方,参加講演会,参加者のメールアドレスをお知らせください.コメント欄にご記入下さい.

申し込みは,下記のフォームを利用してください.(本企画の申し込みは終了しました)

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Posted by traisa-admin